海辺のカラス

四国高松で暮らすことになった僕の家出少年的日誌と釣行記

釣りの魅力ってやっぱり魚の引きが楽しいんですか?

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「趣味は釣りです」とひとに話したとき、タイトルの質問されたことのある釣り人のみなさん。いや、それを聴かれて苦笑いしながら「えーっと・・・まぁそう・・・ですね、はい」としか答えられず、話題を強制終了させてしまったことのある釣り人のみなさん、どれくらいいますか?

そうですね、全員ですよね。

春のベストシーズン到来中に外出自粛を余儀なくされて悶々としているアングラーのみなさま、そしてそんな馬鹿僕らにどうにか理解を示そうとしてくださる温かい聖人君子のみなさまのためにも、釣りの楽しさとはなんぞや?ということについて改めて考えてみたい。

■一般のひとにはどう見られているのだろう

そもそもの話、釣りに対する考え方なんて10人いたら10人ちがう。あくまで僕の考える釣りの魅力についての話である。

そのまえに、まずは一般的に思われてそうな釣りの魅力について挙げてみよう。

*自然のなかでリフレッシュできる

*海がとにかく広くてきれい

*魚の引きが小気味いい、ファイトが強烈

*食べて美味しい

とまぁ、こんなあたりか。

お気づきのとおり、これで納得する釣り人などいないだろう。いや、そういう人だっていると思うし、いていいんだけど。一番の魅力かというと疑問である。

そもそも、コンクリートジャングルでだって釣りするし、だいたいそういう場所はせせこましいドブだし、僕は最近ほとんどリリースだし。肝心の引きに関しては、もはやファイトしている最中は楽しんでる余裕ないからね。もう必死。でかい魚になればなるほど、バレないか、ラインを擦られないか、根に潜られないか、そればっかり考えちゃう。

ていうか、もしこの程度のことが魅力なのだとしたら、家庭を顧みず、恋人をほったらかし、学校の単位より潮周りを重視してしまうようなバカがこれほど大量に発生する説明がつかない。

■これが答えだ!

さて、では釣り人の思う釣りの魅力とはなにか。

以前勤めていた会社で、渓流釣りが趣味という上司が最も納得のいく回答をしていた。

そばにいた釣りをしない社員から「わざわざ山奥まで行って1、2匹しか釣れない日もあるってやばくないすか?せっかくの休みなのに」と言われた上司はこう言い放った。

「あのな、俺たちがやってんのは戦いなの。勝負すんのがおもしろいんだろうが」

 たとえば、野球。そりゃ負けるより勝つほうがいい。そうに決まってる。でも、負けたチームだって試合は楽しいし、おもしろい。負けたからって「今日は来た意味がなかった」なんて誰も思わないよな。

たとえば、将棋。盤面から先を読み、相手の手を予想し、王を追い詰めていく。勝ったそのことよりも、どのようにしてそこに至ったかが感想戦という形で掘り下げられる。

釣りも同じである。棋士のように戦局を読み解き、アスリートのように技を繰り出し、敵を追い詰めていく。しかも、相手は自然である。決まったルールのない世界で、刻々と変わる状況を把握し、どうしたら釣れるかイメージし、そこにパターンを見出し、技術を駆使してイメージ通りの攻撃を具現化していく。ダッセー言葉を使うと究極の推理ゲーム。つまり言ってしまえば、釣りのいちばんの楽しさは魚にたどりつくまでなのだ。

外出自粛くらいじゃな、変態アングラーたちがいちばん楽しんでる“妄想”までは抑えられないんだよ!ざまみろコロナ!

■正解を出してはみたものの・・・

とまぁ、小難しく理屈をこねてしまったわけだが。そんなものをはるか超越する興奮を感じる瞬間がこの戦いには存在する。これ・・・言葉にするのが非常に難しい。どのタイミングで訪れるかというと、魚をキャッチした、その瞬間である。

脳内のヒューズがぶっ飛んで、背骨の奥から頭に向かって熱い謎の物質が爆発的に湧き上がってくる。そんな感じ。

しかも、これが毎回じゃないのだ。同じ魚でも感じるときとそうでないときとある。
ただ、でかい魚を獲ったとき。このときは出やすい。あとはイメージがドンピシャはまって釣れたときとか。もしくはまったく予期しない種類の魚や釣れ方のとき。はじめて釣る魚、はじめてやる釣り方のとき。

僕はほかのことでこの種類の興奮を味わったことがない。僕らの強力な妄想力でもたどり着けないこの爆発を、はやいとこ感じに行きたいんだが。