海辺のカラス

四国高松で暮らすことになった僕の家出少年的日誌と釣行記

ソルトルアーアングラーが大真面目にカワムツのウキ釣りをやってみた

香川へきて、もう20日以上。

家周辺の地理がなんとなくわかってきたところで、いよいよ釣り開始だ。どうしよう、何釣ろう。

いや、四国だぜここ。なんでもいるでしょー。春だしな、マダイかな、青物かな。チヌの乗っ込みとか磯マルもそろそろ?瀬戸内だしアコウとかも釣りたい。春イカ?でかいのいそうじゃん。もしくは一足飛びに高知でヒラスズキ・・・?

その前に、僕にはやるべき釣りができてしまった。

今回のターゲットは―カワムツである。

■釣りの基本、カワムツ

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えーと、関東出身の僕にはまるで馴染みがないんだけど、なんだこの魚。

河川中上流域に生息するコイ科の淡水魚。人為的な要因で東日本にも分布を広げているみたいだが、そもそも西日本固有の生き物らしい。釣りのジャンルでいうと、清流域のハヤやオイカワ釣りに近いようだ。
僕は釣るどころか見たこともない。というか、いろいろすっとばして中学でイワナから釣りの世界にハマっちゃった僕としてはだよ。ハヤなんて渓流魚の外道でしか釣ったことないんだよな。

せっかくなので、釣りの基本とも言われるこの手の魚を、初心者に立ち返って真面目に釣ってみよう思う。

カワムツってどこ?

まず、カワムツはどこにいるのか。

何日かかけて香川県内の川をいくつか探索したところ、おぼろげながらエリアやポイントが掴めてきた。以下、僕なりのポイント考察である。

大小どんな川にいても不思議じゃないが、小規模な川の方が見つけやすい

ポイントは水深のある瀬尻、瀬脇の澱み、落ち込みや堰下の溜まりや反転流など。とにかく流れが緩いことが重要

とはいえメリハリのある流れがあるといい。なにもなくフラットな場所より、きちんとしたがあった上での緩い場所

隠れられるアシや水際の植物、底石などがある場所

水深の浅い瀬に群れで並んでいたりもするが、人が近づくと一斉に隠れてしまい、ポイントによっては人がいる限り魚が戻らないことも多々ある。やや水深があり、魚から見えづらい角度で攻められる場所がよい

以上を踏まえた、僕の思ういいポイントがー

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こんな感じのとこ。写真は下流側を向いた図。写っていないが左後方から瀬が入っていて、右岸側にメインチャンネルがある。田舎ならどこにでもありそうな川だが、河川貧弱県・香川では、意外と見つけるのが難しい。

濁っているのはこの時期特有の田んぼの代掻き水が入っているため。もう少しクリアなほうが食いはいい気がする。

カワムツって、釣れない?

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タックルと仕掛けは、いわゆる清流小物釣りの定番。しかし、この定番の釣りをするのが初めてである。ロッドは3mのノベ竿、ラインはミチイトがナイロン0.8号にハリス0.6号。ハリは袖バリの3号で、手返しを重視してカエシを潰す。オモリはガン玉5号を使用し、それに適合するトウガラシウキをセットした。

エサは迷ったすえ、みんな大好きマルキュー『キューちゃん』を使用。練りエサなんて使ったことがないのでいまいち信用できなかったのだが、この選択が正解だったことが後に判明する。団子を作って常に左手に持っておけば、手返しが抜群にいいのだ。たぶんアカムシやサシだと、毎回エサ箱開けて、ちっこい虫をちっこいハリにつけて・・・と手間がかかる。

さっそく瀬脇の澱みに仕掛けを入れると、早くもウキが!動く!なんだよいるじゃん、楽勝じゃん。ヤマメ釣りで鍛えた電撃アワセをくれると―仕掛けが宙を舞った。

まぁ~~乗らない。次の流しも、その次の流しもすっぽ抜け。なんで?どうして?意味わからん。

もしかして、カワムツって釣れない魚なのか・・・?

カワムツに会いましょう

なにがシーバスだ。メバルだ。カワムツも釣れなくてよくこれまで釣りを語れたな。ソルトルアーアングラーが聴いてあきれる。ヒラスズキ?マダイ?100年早ぇえ。

というわけで、完全に初心者丸出し状態の僕が、1から基本に立ち返って釣ってみて感じたこの釣りの肝をまとめたい。

いきなり最重要ポイント。釣りの基本中の基本、タナ。つまり水深に対しどの層にエサを届けるのか。状況によってウキの位置をこまめに変えることが非常に大事である。

カワムツは、大中小さまざまなサイズが同じ場所で群をつくる魚だ。そのなかでも縦のレンジでいうと、浅い層には小型、下の層に行くに従い相対的に大型が着く傾向にある。

小型がいちばん数が多いので、浅い層ではアタリが頻繁にでる。はじめはウキ下を短くし、上の層で群の有無をチェックする。ウキへのアタリが細かい、ハリ掛かりが極端に悪いなど魚がよほど小さいと判断できた場合、徐々にウキ下を長く、深い層へと落としていく。タナを下げすぎて魚の捕食レンジから外れるとアタリが減るので、今度は短くする。この調整を、魚の反応をみながら延々とやる。

次に重要なのがアワセのタイミング。はじめの僕のように早アワセでは乗らない。ウキが全部しっかり沈み込んでから、僕の感覚ではこんなにゆっくりでいいのかな?というタイミングでアワセる。ほんの一瞬ずれただけで乗らないので、釣りながら感覚を合わせていく。

魚の活性やサイズによって、ウキが真下に消し込まないアタリの場合もある。ウキが断続的に細かく振動→静止を繰り返すのは、エサをつついているだけ。絶え間なくずっと動いている、流れとは無関係な方向・速度で横に移動する、流れの中で止まる等は本アタリ。また、活性が上がってくると仕掛け投入の「ポチャン」で食ってきてウキが馴染まないこともある。釣れないときのウキの状態とちょっとちがうな、と思ったら空アワセ。

タナを下げすぎるとウキが倒れるようなアタリがでる。イメージとしては、魚が自分のいる層から下のエサを食い、また元いた層へ戻ることで仕掛け全体が浮き上がる感じ。もしくは食い上げ。これがでたら、次の投入時にタナを浅くしてレンジを合わせる。

エサ盗りの小型が多い場合、はじめからウキ下を長くする、エサを大きめにつけて大型がいる層までにエサがなくならないようにするなど工夫する。僕はガン玉5号用のウキしか持っていないのでできなかったが、オモリを重くして早く底に沈むよう調整してもいいかもしれない。

横のレンジでいうと、流れのメインチャンネルに近い(つまり流れが効いている)ところに大型、止水に近い部分に小型が着く傾向にある。あくまで僕の感じた傾向だが。良型を狙いたければ、流れと深いレンジがキーポイントだ。

ハリのサイズは、目の前のポイントの魚のサイズと活性によって変えること。小型メインの場合、あと食いが渋いときは小さく。良型メイン、活性が高い場合はハリが飲まれるので大きく。いまのところ袖バリ3号が魚のサイズ問わず適合していると感じる。

というわけで―

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カワムツ歴3回目にして、4時間で50尾ほどキャッチ(写真のほかにもう1バケツある)。まだまだ手返しが悪いので、今後も試行錯誤しながら数釣りを極めたいところである。

なお、小難しく書いてはみたものの、釣り経験の浅い知人も同じくらい釣ったらしいので、初心者の方も十分楽しめる。また、僕みたいな自称釣り人にとっても、もういちど「釣りとはなんぞや」を考えるのに適した釣りだし、自分の下手さを再確認できるし、すべての釣りに繋がるエッセンスが詰まっているのでたぶんほかの釣りも上手くなる。

このご時世なのですぐにとはいかないけど、世の中が落ち着いたらリハビリがてら最初の釣りに選んでみてはどうでしょう。